■概要
福島原発の事故後、大量保管されている処理水を貯めるタンクは2022年秋ごろに満杯となるため増設を検討し、早ければ2023年には処理水を海に放出を開始する方針を日本政府が正式決定しました。この決定に対してアノニマスは、環境汚染を危惧しての抗議をしています。(ハッシュタグを含む初ツイートは2021年04月13日)
■主張
あるアノニマスは、この件に関して、2012年07月09日にドイツのヘルムホルツ海洋研究センター(以下、GEOMAR)よりリリースされた処理水の広がりに関するシミュレーション結果「Fukushima – The fate of contaminated waters(July 9, 2012/)」を挙げ、GEOMARは、福島で処理水が投棄された場合、57日で太平洋の半分が汚染されると予測しており、3年後、カナダとアメリカは核放射能汚染の影響を受けるという試算結果を紹介しています。
また、あるアノニマスは、2021年04月13日に経済産業省からリリースされた「東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の定義を変更しました」を引用しています。引用は英語版のスクリーンショットですが日本語版のものは以下の通りです。
このリリースの当該箇所の趣旨は
- 現在、貯蔵されている水の7割は、トリチウム以外にも規制基準値以上の放射性物質が残っている
- 放出する水については、2次処理や希釈を行ないトリチウムを含む放射性物質に関しても規制基準を大幅に下回ることを確認する
- 誤解を招くことを避けるためにトリチウム以外についても基準を満たす水のみを「ALPS処理水」と呼称する
というものです。しかし、この辺りに疑問を持っているのか、信用していないのか、環境保護の観点から放出について抗議しているようです。
■ターゲットリスト
組織名 | URL | |
東京電力ホールディングス | www.tepco.co.jp | |
自由民主党 | www.jimin.jp | |
日本経済団体連合会 | www.keidanren.or.jp | |
福島市 | www.city.fukushima.fukushima.jp | |
福島県 | www.pref.fukushima.lg.jp | |
首相官邸 | www.kantei.go.jp | |
参議院 | www.sangiin.go.jp | |
衆議院 | www.shugiin.go.jp | |
総務省 | www.soumu.go.jp | |
外務省 | www.mofa.go.jp | |
日本郵政株式会社 | www.japanpost.jp | |
厚生労働省 | www.mhlw.go.jp | |
キリンホールディングス株式会社 | www.kirinholdings.co.jp | |
みずほフィナンシャルグループ | www.mizuho-fg.co.jp | |
住友商事株式会社 | www.sumitomocorp.com | |
三井物産株式会社 | www.mitsui.com | |
すが義偉公式サイト | www.sugayoshihide.gr.jp | |
法務省 | www.moj.go.jp | |
環境省 | www.env.go.jp | |
国土交通省 | www.mlit.go.jp | |
財務省 | www.mof.go.jp | |
文部科学省 | www.mext.go.jp | |
経済産業省 | www.meti.go.jp | |
防衛省 | www.mod.go.jp | |
茂木としみつ公式サイト | www.motegi.gr.jp | |
河野太郎公式サイト | www.taro.org | |
ミャンマー日本商工会議所 | www.jccim.org | |
三井住友銀行 | www.smbc.co.jp | |
株式会社鴻池組 | www.konoike.co.jp | |
株式会社フジタ | www.fujita.co.jp | |
東京土地建物株式会社 | www.tokyott.co.jp | |
大和ハウス工業株式会社 | www.daiwahouse.co.jp | |
ダイキン工業株式会社 | www.daikin.co.jp | |
株式会社 日本経済新聞社 | www.nikkei.com | |
株式会社 電通 | www.dentsu.co.jp | |
株式会社タカシマ | www.tksm.co.jp | |
イオン株式会社 | www.aeon.info | |
日本原子力研究開発機構 | www.jaea.go.jp | |
東京都 | www.metro.tokyo.lg.jp | |
東京スカイツリー | www.tokyo-skytree.jp | |
西武鉄道 | www.seiburailway.jp | |
日本原子力発電株式会社 | www.japc.co.jp | |
東京大学 大学院工学系研究科原子力国際専攻 | www.n.t.u-tokyo.ac.jp/eng/ | |
電気事業連合会 | www.fepc.or.jp/smp/ | |
一般社団法人 日本原子力学会(AESJ) | www.aesj.or.jp/en/ | |
電源開発株式会社(J-POWER) | www.jpower.co.jp | |
Nuclear Energy Agency | www.oecd-nea.org |
■公開されたファイル
2021年05月4日にあるアノニマスにより東京電力に関するファイルが公開されました。
アノニマスによる言及としては「約束通りドキュメントを公開する」といった趣旨の文言であり、リークとの明言はありませんでしたが、上記ファイルを入手し、公開情報であるかどうかを調査しました。調査結果は以下の通りです。情報種別の公開情報①は東京電力からのドキュメントであり、公開情報②はその他の組織からのドキュメントです。
ファイル名 | 情報種別 | 備考 |
10report-e.pdf | 公開情報 ① | |
120620e0104.pdf | 公開情報 ① | |
13i_full-e.pdf | 公開情報 ① | |
2015_fukushima_report.pdf | 公開情報 ② | |
20191101_SP2019eEM.pdf | 公開情報 ② | |
20191101_SP2019eOV.pdf | 公開情報 ② | |
20191227_1.pdf | 公開情報 ② | |
20191227_3.pdf | 公開情報 ② | |
20201006_SP2020FT.pdf | 公開情報 ② | |
20201207press.pdf | 公開情報 ② | |
20201214_SP2020eEM.pdf | 公開情報 ② | |
20201214_SP2020eFT.pdf | 公開情報 ② | |
20201214_SP2020eOV.pdf | 公開情報 ② | |
20210304_FPCJ_METI.pdf | 公開情報 ② | |
202104_bp_breifing.pdf | 公開情報 ② | |
anaylysis_nra1014.pdf | 公開情報 ② | |
book_fukushima.pdf | 公開情報 ② | |
bp_alps.pdf | 公開情報 ② | |
events-and-highlights-october-2020.pdf | 公開情報 ② | |
Fukushima-de-Saille-Matanle-final-1.pdf | 公開情報 ② | |
fukushima.pdf | 公開情報 ② | |
fukushima_2.pdf | 公開情報 ② | オリジナルは「fukushima.pdf」重複するファイル名があるため名前を変更したと思われる。 |
Japans-Nuclear-Future.pdf | 公開情報 ② | |
mp202101.pdf | 公開情報 ② | |
mp202102.pdf | 公開情報 ② | |
mp202102_2.pdf | 公開情報 ② | mp202102.pdfと同一ファイル。ハッシュ値も一致。 |
mp202103.pdf | 公開情報 ② | |
power-demand-001.pdf | 公開情報 ① | |
reactorpamph2019en.pdf | 公開情報 ② | |
Registration-and-Appointment-of-ExecutivesApr-28-2021_en.pdf | 公開情報 ② | |
Registration-and-Appointment-of-ExecutivesJune-24-2020.pdf | 公開情報 ② | |
review-report-020420.pdf | 公開情報 ② | |
sd202101.pdf | 公開情報 ② | |
sd202103.pdf | 公開情報 ② | |
sonota_20210426.pdf | 公開情報 ② | |
UNUIAS_PB5.pdf | 公開情報 ② |
上表のように公開されたすべてのドキュメントは公開情報であり、機密情報が含まれるものではないということが判明しました。
■コメント
2021年04月21日現在では、ステートメントやターゲットリストといったものは公開されておらず大きな攻撃が発生するような前兆は確認されていません。関連しそうなオペレーションとしては環境問題に対する抗議行動を行なってきた「OpGreenRights」や過去に日本の原子力関連組織もターゲットリストに掲載された「OpNuke」などが考えられます。日本に対する海洋生物保護を訴えるオペレーション(OpKillingBay, OpWhales, OpSeaWorld)なども2021年07月23日から開催される東京五輪に対するボイコットと絡めたアクションが今後発生する可能性も否定はできないと考えます。
2021年04月22日追記:
ターゲットリストが既視感のあるリストと思い確認したところ以前にこのブログのポストである「Anonymousによるオペレーション #OpMyanmar メモ」のリストと一致する箇所が多数あることが分かりました。「#OpMyanmar」のリスト(日本の組織のみ)と異なる箇所は、「東京電力ホールディングス」「福島市」「福島県」が追加されていることです。それ以外については重複しており、順番も同じです。これは単なる使い回しというわけでは無く、オペレーションに参加していると思われるアノニマスが2つのオペレーションに跨いで参加していることに起因していると考えられます。
■更新履歴
・2021年05月04日 公開されたファイルを追加
・2021年04月26日 ターゲットリストを10件追記
・2021年04月22日 ターゲットリスト、コメントを追記
・2021年04月21日 初版公開